三軒茶屋・弘善湯あたり 東京の栞(102)
三軒茶屋駅前から南東に伸びる栄通り商店街をゆくと、農村から無秩序に都市化した街並みが続く一方、左手には広大な軍用地跡に戦後建設された都営アパートが整然と並び、なにかちぐはぐとした印象を受ける。
この木造平屋の建物は野砲兵第一連隊の兵舎であったらしい。古い航空写真によると、兵舎の建物はさらに左手(西側)に続いていたが、現在は途中で切断された形になっている(東端は寄棟なのに西端は切妻。)。戦後70年以上も取り壊しを免れてきたのは複雑な経緯・権利関係によるものだろうか。世田谷区下馬2-37。
弘善湯(下馬2-36-15)の周囲で道は不規則に交差する。弘善湯の敷地は円弧を描いており、しかも建物の裏手が道路側に露出している。銭湯の立地としてはとても珍しい。トタン板に囲まれてまったく中を窺うことができず、要塞のように見えなくもない。
都営下馬アパートは老朽化が進んでおり、順次建替えが計画されている。住人の気配が消えた13号棟。世田谷区下馬2-34-13
2017年10月28日。