文化湯のタイル絵 銭湯遺跡探訪(3)
「代官山アドレス」の片隅に、旧同潤会代官山アパート内で営業していた銭湯「文化湯」(渋谷区代官山町17-23)のタイル絵が保存されているという話しを聞き、訪ねる。
36階建の高層マンション「ザ・タワー」の脇の回廊には同潤会代官山アパートの写真パネルが展示されており、文化湯を写したものもあった。その回廊は、文化湯の建物(23号館)を模したアーチとなっている。
旧同潤会代官山アパート 文化湯 タイル絵
昭和2年(1927)、この地に旧同潤会代官山アパートが建てられました。アパート内には銭湯もあり「文化湯」と呼ばれ、アパートの住人だけでなく、近隣の多くの人々に利用され、親しまれてきました。
このタイル絵は、昭和30年頃「文化湯」が改装された際、壁面に飾られたものです。九谷焼で、客がたくさん「来い」という願いが込められ、鯉が描かれています。長く愛され続けた「文化湯」をいつまでも後世に伝えたいと、ここに移設しました。
平成12年8月 渋谷区
タイル絵は、代官山アドレスの南東側、代官山駅の向かいにある区立代官山公園の階段を上ったところにひっそりと展示されていた。文化湯の廃業から22年、ほとんどの人は目もとめず通り過ぎてしまうだろう。
文化湯の跡地は、現在、「ザ・タワー」北西側の緑地広場となっている(赤い丸で囲んだ部分)。タイル絵が保存されている場所(矢印)はそこから100メートルほど離れている。
文化湯の廃業を伝える新聞記事(読売新聞1995年6月15日朝刊都民版24頁)。写真の女性が「処分してしまうのは惜しい」と指差しているタイル絵が保存されることとなった。