港区の銭湯の変遷 補遺
再開発等で周囲の街区が大きく変化した銭湯について補遺。
(1)海水湯
港区芝新橋2-28、住居表示実施により新橋2-8-11。
新橋駅日比谷口から100メートルも離れていない路地奥にあった(赤い丸で囲ったところ)。2015年末現在、家電量販店のビルの一部に相当する。
ところで、線路を挟んで反対側の銀座口には「十仁病院」と書かれた煙突があり、いかにも銭湯の痕跡を思わせるものであった(青い丸で囲ったところ)。
2003年3月29日撮影。
しかしながら、少なくとも1960年以降、当該場所(港区新橋1-12)に銭湯が存在した記録はない。十仁病院(十仁美容整形)の開院は1933年とのことなので、それ以前に存在した銭湯の煙突がそのまま保存されていた可能性が高い。この煙突は、2005年頃、周囲の建物とともに解体された。
(2)天徳湯
港区麻布谷町47、住居表示実施により港区六本木1-1-11。
廃業後も残っていた煙突が赤瀬川原平『超芸術トマソン』(白夜書房、1985年)の表紙を飾った。
1970年の時点ですでに駐車場となっている。件の写真が撮影されたのは1983年頃で直後に煙突は解体されたので、10年以上もの間、「無用煙突」として麻布谷町に佇立し続けたことになる。
アークヒルズの建設で街区が大きく変化したため現在の地図上で正確な位置の特定は困難であるが、西光寺と道源寺の南側の小道を手がかりになんとか比定することができた。アークタワーズイーストの前庭あたりである。