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赤猫丸平の片付かない部屋

Une chambre mal organizée

前野書店 東京の栞(054)

054_1 前野書店 新宿区西早稲田1-4-16 19960423(96.04.00a) 054_2 前野書店 新宿区西早稲田1-4-16 19960423(96.04.09)

早稲田通り、グランド坂上の「前野書店」(改築前の旧店舗)。なんの変哲もない街の書店だが、実は戦前から続く早稲田の老舗である。毎春、この店で指定教科書を売るアルバイトをしていた。薄暗い店内から西門通りを楽しそうに歩く新入生を眺めていた。東京都新宿区西早稲田1-4-16。1996年4月23日。

054_3 ドラード早稲田 新宿区早稲田鶴巻町517 20130226(2013_0226_104631) 054_4 ドラード早稲田 新宿区早稲田鶴巻町517 20130226(2013_0226_104806)

前野書店は戦前は早大正門近くにあったが、空襲で早稲田鶴巻町一帯が焼け野原となり、立地の将来性を見越して現在の場所に移転した。実際、戦前は大学から神楽坂に出るのが早大生の主な経路であったのが、戦後は高田馬場駅方向へと人の流れが変化したから、当時の店主には先見の明があったことになる。かつての店舗跡には現在、「ドラード早稲田」という異様な外観の建物が建っている。東京都新宿区早稲田鶴巻町517。2013年2月26日。

この「ドラード早稲田」は、日本のガウディこと梵寿綱(ぼんじゅこう)という建築家の作品である(1983年8月竣工)。前野書店の現店主の話によると、店主の叔父が自宅兼賃貸住宅を建てるにあたって早大理工学部出身で親交のあった梵寿綱に一任したのだという。ただ、その叔父は完成した建物を見てショックのあまり寝込んでしまったそうである。

054_5 ドラード早稲田 新宿区早稲田鶴巻町517 20130226(2013_0226_104137)

外壁は梵寿綱を中心とする美術家・工芸家集団の手になる装飾で埋め尽くされている。目を留めない通行人はまずいないであろう。

054_6 ドラード早稲田 新宿区早稲田鶴巻町517 20130226(2013_0226_104251)

建物入口。なるほど、ショックで寝込むのも宜なるかな…

Comments & Trackbacks (2)

    1. 笠じぞう

      はじめまして。
      前野書店、懐かしい書店さんです。
      私も学生時代にこちらで教科書販売の時期にアルバイトに使っていただいたことがあります。
      掲載の写真の通り、お店の中から眺める風景はのどかなものでした。
      鶴巻町の旧店舗跡に建つ、あのユニークというかユニークな建物も記憶にあります。

      よいお話と写真を有難う御座いました。

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        chatrouge

        コメントありがとうございます。
        前野さんは体育会とつながりがあったようですから、体育会系の部活にご所属だったのでしょうか?
        先日、前野さんより店を閉めるとのはがきをいただきました。
        集まり散じて…人だけではなく、街も変わってゆきます。

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