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赤猫丸平の片付かない部屋

Une chambre mal organizée

都心6区の銭湯の変遷 1960年-2015年

1.出典
(1)東京都公衆浴場商業協同組合『昭和35年度組合員名簿』(1960年名簿)
(2)東京都公衆浴場業環境衛生同業組合・東京都公衆浴場商業協同組合『昭和55年度組合員名簿』(1980年名簿)
(3)公共施設地図航空『全住宅案内地図帳 昭和45年度版』(1970年住宅地図)
(4)東京都公衆浴場業環境衛生同業組合『東京銭湯マップ ’94』(1994年マップ)
(5)東京都公衆浴場業環境衛生同業組合『東京銭湯マップ2000』(2000年マップ)
(6)東京都公衆浴場業環境衛生同業組合『東京銭湯お遍路MAP』(2007年マップ)
(7)東京都公衆浴場業環境衛生同業組合『東京銭湯ぶらり湯めぐりマップ』(2011年マップ)

2.注記
2.1.全般的な注記
(1)1960年名簿の住所(住居表示実施前)と現在の住所の対応は各年の住宅地図で逐一確認したが、住居番号(住居表示の末尾の数字)は建物の主要な出入口の位置で定まるため、住居表示が名簿と住宅地図とで一致していなかったり、建替え等により変化することがある。
(2)区画整理等で正確な位置の特定ができないものがある。
(3)1970年住宅地図に記載があるものをもって1970年の時点で存在している銭湯とした。しかし、住宅地図に記載があっても既に廃業している(建物だけが残存している、あるいは住宅地図が正確に更新されていない)場合があり、また、住宅地図作成における実踏調査と刊行年との間には時差があるから、1970年住宅地図に記載がある件数と同年において実際に営業していた銭湯数は一致しない。各区の誤差は次のとおりである。

千代田区 中央区 港区 新宿区 文京区 台東区
1970年住宅地図に記載がある件数 32 45 59 99 64 110
1970年末の銭湯数(東京都『公衆浴場基礎資料』による) 24 44 50 95 62 103
誤差 8 1 9 4 2 7

 

2.2.各区の注記
2.2.1.千代田区
九段湯と九段温泉について。1960年住宅地図では九段1-18(現在の九段北1-11-11 第2フナトビル)に「九段温泉」、九段1-4(現在の九段北1-2-3 フナトビル)に「九段湯」の記載があるのに対し、1960年名簿には住所「九段1-18」、店名「九段湯」のみが記載されており、住所と店名に齟齬がある。1970年住宅地図では九段北1-11-11に「九段温泉」の記載があり、九段北1-2-3には「亜砂呂(あすなろ)」という喫茶店が記載されている(なお、現在の九段北1-2-3 フナトビル8階に亜砂呂産業というおそらくビルを所有する会社が入居している。)。1980年名簿では住所「九段北1-2-3」、店名「九段温泉」が記載されている。1960年名簿の「九段湯」と1980年名簿の「九段温泉」の経営者は同一人物である。これらの事情を総合すると、1960年の時点では同一人物が経営する「九段湯」(九段北1-2-3)と「九段温泉」(九段北1-11-11)が併存していたが、前者は早い時期に廃業して喫茶店となり、後者のみが1980年の時点で存続していたと考えられる。九段温泉の経営者は旧九段湯の住所に居住していたので1980年名簿には九段温泉の住所が「九段北1-2-3」と記載されているのであろう。1987年住宅地図でも九段温泉は確認できるが、その跡に建つ第2フナトビルは1991年竣工なので、その間に九段温泉は廃業したようである。ここでは1960年の時点で九段湯と九段温泉が併存していたものとしてマップを作成した。

2.2.2.中央区
梅の湯(銀座6-11)についてこの記事を参照。

2.2.3.港区
(1)赤瀬川原平『超芸術トマソン』(白夜書房、1985年)の表紙を飾った麻布谷町の天徳湯についてこの記事を参照。
(2)あかね湯(赤坂5-4)について。1962年住宅地図では正確な位置がはっきりしないため、一般社団法人シナリオ作家協会事務局に問い合わせたところ、「シナリオ会館ビルの敷地に以前、銭湯があったという記録が残っておりました。銭湯の名前や経営者の方の名前は分からないのですが当協会のシナリオ会館に関する記録に「銭湯の人は土地を半分売って、残る半分に売ったカネでビルを建てる計画だった」という記述があります。」との回答を得た。

2.2.4.新宿区
都営戸山ハイツの一画にあった戸山浴場について。戸山ハイツの高層化に伴う区画整理のため正確な位置の特定はできない。1972年住宅地図の戸山ハイツ20号棟との位置関係から、25号棟のあたりと比定される。25号棟が竣工した1974年12月までに廃業。

2.2.5.文京区
君の湯(大塚6-10-9、現存)およびシビックランド日成(本郷4-17-9、2014年10月廃業)は途中で浴場組合を脱退した。正確な脱退時期はいずれも不明だが、脱退以降は浴場組合が発行する銭湯マップ等には掲載されていない。

2.2.6.台東区
1980年名簿および1994年マップには萩の湯(根岸2-13-13)と同じ建物(長沼ビル)で営業していた「サウナ根岸」が掲載されているがここでは省略した。

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